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ブックレビュー: 2009年4月アーカイブ
藤沢周平:橋ものがたり
- 2009年4月30日 08:17
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幼な馴染のお蝶が、仕事場に幸助を訪ねてきた。奉公に出るからもう会えないと、別れを告げるために。「五年経ったら二人でまた会おう」年季の明けた今、幸助は萬年橋の袂でお蝶を待つが・・・・・・。(「約束」)様々な人間が日毎行き交う江戸の橋を舞台に演じられる、出会いと別れ。市井の男女の喜怒哀楽の表情を瑞々しい筆致に描いて、絶賛を浴びた傑作時代小説。
昭和58年4月25日 発行
平成15年10月10日 46刷改版
平成19年4月25日 58刷
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ソール・ベロー: 犠牲者
- 2009年4月23日 08:46
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酷暑のニューヨーク、被害妄想的な過敏さに陥ってるユダヤ人レヴィンサールは、すでに忘れかけていた過去の事実をもとに浮浪者風の男に脅迫された。少数民族の疎外感と被害者意識に悩まされてきた彼は、真夏の夜の悪夢のようなこの出来事で、自分がいつの間にか加害者の立場に据えられていることを知った・・・・・。現代社会に生きる不安と錯乱を抑制の利いた乾いた筆致で描く第二作。
昭和48年9月30日 発行
昭和51年11月10日 3刷
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安部公房: 壁
- 2009年4月18日 08:29
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ある朝、突然自分の名前を喪失しまった男。以来彼は慣習に塗り固められた現実での存在権を失った。自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。そして・・・・・・・。独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った芥川賞受賞の野心作。
昭和44年5月20日 発行
昭和48年6月10日 10刷
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司馬遼太郎: 幕末
- 2009年4月11日 08:32
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「歴史はときに、血を浴した。このましくないが、暗殺者も、その兇手に斃された死骸もねともにわれわれの歴史的遺産である。そういう眼で、幕末におこった暗殺事件を見なおしてみた。」(あとがきより)春の雪を血で染めた大老井伊直弼襲撃から始まる幕末狂瀾の時代を、十二の暗殺事件で描く連作小説。
2001年9月10日 新装版第1刷
2006年7月15日 第12刷
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司馬遼太郎: 最後の将軍
- 2009年4月 9日 08:43
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ペリー来航以来、開国か攘夷か、佐幕か倒幕かをめぐって、朝野は最悪の政治的混乱に陥ってゆく。文久二年、将軍後見職として華々しく政界に登場したのちの十五代将軍徳川慶喜は、優れた行動力と明晰な頭脳をもって、敵味方から恐れと期待を一身に受けながら、抗しがたい時勢にみずから幕府を葬り去った。
1997年7月10日 新装版第1刷
1998年2月1日 第10刷
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藤沢周平: 漆黒の霧の中で 彫師伊之助捕物覚え
- 2009年4月 7日 08:55
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竪川に上った不審な水死人の素性を洗って、聞きこみを続ける伊之助の前にくり広げられる江戸の町人たちの人生模様-----。そして、闇に跳梁する謎の殺人鬼による、第二、第三の殺人-----。伊之助の孤独な探索は、大店の主人や寺僧たちの悪と欲の世界を明るみに出すが・・・・・・・。元は凄腕の岡っ引、今は版木彫り職人の伊之助を主人公とする、絶妙の大江戸ハート゜ボイルド。シリーズ第二弾!
昭和61年9月25日 発行
平成16年6月5日 38刷
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