Home> コラム > ブックレビュー: 2008年10月アーカイブ

ブックレビュー: 2008年10月アーカイブ

カミュ:異邦人

img-X28082809.jpg母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ルムソーを主人公に、不条理の認識を極度に追及したカミュの代表作。

昭和29年 9月30日 発行
昭和48年 2月15日 43刷

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

司馬遼太郎-風の武士(上)(下)

img-X24081832.jpg幕末のある日、伊賀同心の末裔で貧乏御家人の弟・柘植信吾は異相の山伏とすれ違った。その時、何気なく感じた異常感----予感は的中し、信吾はたちまち幕府と紀州藩を巻き込む大秘事の渦中に引き込まれた・・・・・・・。熊野の秘境の安羅井国とは?またそこに隠された巨万の秘宝とは!?波乱万丈の伝奇長編。

1983年11月15日 第1刷発行
2001年 5月15日 第43刷発行

Continue reading

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

藤沢周平-闇の穴

img-X25083423.jpgわたしを棄てた男が帰ってきた。大江戸の裏店でそっとともした灯を吹き消すような暗い顔。すさんだ瞳が、からんだ糸をひくように、わたしの心を闇の穴へとひきづりこむ-----。ゆらめく女の心を円熟の筆に捉えた表題作。ほかに、殺人現場を目撃したため、恐怖心から失語症にかかってしまった子供を抱えて働く寡婦の薄幸な生を描く「閉ざされた口」等、時代小説短編の絶品七編を収める。

昭和60年 9月25日 発行
平成16年10月15日 35刷

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

横山秀夫-陰の季節

img-X22081146.jpg警察一家の要となる人事担当の二渡真治は、天下り先ポストに固執する大物OBの説得にあたる。にべもなく撥ねつけられた二渡が周囲を探るうち、ある未解決事件が浮かび上がってきた・・・・・・。「まったく新しい警察小説の誕生!」と選考委員の激賞を浴びた第5回松本清張賞受賞作を表題作とするD県警シリーズ第1弾。

2001年10月10日 第1刷
2008年 5月 1日 第27刷

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

ノアの大洪水-金子史朗

img-X20081040.jpgはるかなるかつての日、人類の草創期には、この大地の上を大洪水がたびたび襲った。
その大洪水は、時には氷河のの融解にともなう海の潮であったし、
あふれかかる湖水の激流であった。また暴風雨によってひきおこされた
大河の濁流であった。これらのすべての大洪水は、
一万年このかたの世界的な気象変化と深くかかわっていた。
私たちはとぎれとぎれになった伝説や、ごく断片的な言い伝え、
あるいはかすかな古代からの残響に、真実にあった過去の自然のドラマを、
思いえがくことができる。しかし私たちは「ノアの大洪水」を、
はたして過去の事実としてとらえるだけでよいのだろうか。いや実は、
新しい「ノアの大洪水」が、私たちの前におしよせようとしているのだ。

昭和50年 5月20日 第1刷発行
昭和50年 8月15日 第4刷発行

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

藤沢周平-時雨みち

img-X21082556.jpgにがい思い出だった。若かったとはいえ、よくもあんな残酷な仕打ちが出来たものだ。出入りする機屋の婿養子に望まれて、新右衛門は一度は断ったものの、身籠っていたおひさを捨てた。あれから二十余年、彼女はいま、苦界に身を沈めているという・・・・・・・。表題作「時雨のみち」をはじめ、「滴る汗」「幼い声」「亭主の仲間」等、人生のやるせなさ、男女の心の陰翳を、端正な文体で綴った時代小説集。

昭和59年 5月25日 発行
平成19年 2月 5日 51刷

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

フランツ・カフカ-審判

img-X16081836.jpg四二年の生涯を通して「漫然たる不安」と「孤独」を相手に苦闘し続けた作者が、突然一人の人間を逮捕して、その理由を説明することもせずに、最後に犬のように刺し殺してしまう架空の裁判所を題材として、「変身」に通じる、言い知れぬ不安と、そのよって来る不条理の主題を簡潔な文体で追求した未完の長編小説である。

昭和28年 3月30日 初版発行
昭和48年 6月30日 28版発行

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

司馬遼太郎-尻啖え孫市

img-X13083406.jpg元亀元年2月、信長の居城岐阜城城下にふらりと姿を現わした男、真赤な袖なし羽織、2尺の大鉄扇、従者には日本一と書いた旗を持たせる。その名は雑賀孫市、鉄砲3千挺の巨大な威力で知られる紀州雑賀党の若き領主である。天下統一の野望に燃える信長は策士木下藤吉郎を通じ友誼を求めるが・・・・・。戦国の快男子を描く痛快小説。

昭和44年12月30日 初版発行
平成 4年12月10日 43版発行

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

養老孟司-脳のシワ

img-X17082408.jpg科学者は幽霊の存在を信じない?文系では入試の数学ができた人ほど卒業時の成績が悪い!?頭の良さは遺伝するの?そもそも頭が良いとはどういうこと?------同じ条件で実験すれば同じ結果が出る、これが科学の基本、でも人生では同じことなんてまず起こりません。死、恋、幽霊、感情・・・・・・・・今あなたが一番知りたいことについて、養老先生はこう考えます。『I KNOW YOU 脳』改題。

平成18年 8月 1日 発行
平成19年 8月20日 4 刷

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

B.ラッセル-教育論

img-X10083122.jpg ジョン・デュウイをして「最高のイギリスの伝統の中に位置する一書」と絶賛せしめた本書は、2人の幼児の父としてのラッセルが、目のあたりに見、かつ経験したことをもととして、特に幼児期における教育を論じたもので、平和主義と自由主義とそして科学主義とが全篇を流れている一貫した思想である。決して教育者のみの書ではない。

昭和29年 7月30日 初版発行
昭和50年 7月30日 改版7版発行

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

上田秀人-月の武将 黒田官兵衛

img-X09081442.jpg 永禄十二年----三千の兵を率いて姫路城を攻めてきた赤松氏を二百の寡兵をもって夜襲、敗走せしめたことから、広く世に知られることとなった黒田官兵衛。その後、播州に勢いを誇る小寺氏から、羽柴秀吉へと主を変えていくまでの全半生を描く。

2007年10月15日 初版

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

司馬遼太郎-新史太閤記(上)(下)

img-923082322.jpg日本史上、もっとも巧みに人の心を捉えた“人蕩し”の天才、豊臣秀吉。生まれながらの猿面を人間的魅力に転じ、見事な演出力で次々に名将たちを統合し、ついに日本六十余州を制覇した英雄の生涯を描く歴史長編。古来、幾多の人々に読みつがれ、日本人の夢とロマンを育んできた物語を、冷徹な史眼と新鮮な感覚によって今日の社会に甦らせたもっとも現代的な太閤記である。

昭和48年 5月25日 発行
平成15年10月 5日 73刷

Continue reading

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

津本 陽: 覇王の夢

img-X03083024.jpg天下統一を目前に、朝廷の権威を決定的に貶める大改革を推し進める信長。だが、運命の日、逆臣・明智光秀に急襲された彼は、非業の最後を遂げる-----。光秀が謀反を企てた理由とは信長の驚くべき改革とは。天下統一の先に思い描いた究極の夢とは。稀代の権力者をめぐる最大の謎に、歴史小説の第一人者が迫る傑作史伝。

平成20年 8月10日 初版発行

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

林 健太郎-ワイマル共和国

img-927083016.jpg「史上最大の民主的憲法」をもつワイマル共和国が成立してわずか十四年余で潰えざるを得なかったのはなぜか。そしてその中からナチスのような怪物が出現した原因はどこにあるのか。本書は、この問いに対して、ドイツ近代政治史の権威である著者が厖大な公私の文書による研究成果に立脚しつつ、新しい史料と透徹した史観によって明確な解答を与えたものである。この不幸な時代の歴史を究明することは現代人に新たな問題を提起するにちがいない。

昭和38年11月18日 初版
昭和52年 2月15日 25版

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

Home> コラム > ブックレビュー: 2008年10月アーカイブ

カテゴリ
アーカイブ
購読
Powerd By

Return to page top