すべてにおいて遼君はスターであった。
昨日も朝からパッとしない天気で、どよんだ空気が部屋に充満し、憂鬱な
日曜日の朝を迎えた。
「何か気持ちの晴れることは無いものか?!」と思いながらいつもの
ように、朝刊のスポーツ欄から読み始めた。
プロ野球のオールスターの記事が最も大きかったが、右隅に「石川
遼 猛チャージ!」の見出しが・・・・・。
ここで決まった! 「よし!!遼君を見に行こう!!」
そう!23日から千歳のザ・ノースカントリーゴルフクラブで、長島茂雄
Invitational セガサミーカップゴルフトーナメントが開催されていて、遼君
は3日目終了時点で6アンダーの22位の好位置につけていた。
そしてこれまたいつものようにバナナ1本を食べ、用を足していざ千歳へ・・・。
その前にネットで石川 遼のスタート時間を調べておいた。
手嶋多一と清田太一郎と同組でアウト 8:30分スタート。
そして千歳まで車を走らせた。約1時間後ギャラリー用特設駐車場である
キリンビアパークへ到着。シャトルバスに飛び乗り、会場着は10時10分。
「よし!インの10番で待とう!!」
足早に10番ティーへ行くと、15人程度のギャラリーがいて、やたら背の
デカイ外国人選手がティーショットをしていた。
私はティーグランド右の絶好の位置をキープし、遼君が来るのを待った。
その時、9番グリーンの方で大歓声が・・・・・・。(跡で分かったのだが、遼君
がバーディーを取ったのだ。)
その5分後に半端でないギャラリーが10番ティーに押し寄せてきた。
凄い数だ!!まさに群集である!とにかく人・人・人である。
あっと言う間に10番ティーは人で埋め尽くされ、その壁は10番ホールの
中ほどまでつながっていた。
その時、キャーともウォーとも判別の付かない歓声とともに
遼君登場である!!
まだ雨が降っていたので、あの最終日のトレードマークの赤パンツの
上に合羽を着ていた。
それにしても凄いオーラだ。
オーガスタが彼を育てたのか、全英オープンが大きくさせたのかは分からない
が、とにかく凄みを増していた。
この後のティーショットはど迫力そのものであった。(無論撮影は禁止されて
いたし、さすがにティーショットだけは撮れない。)
そして2打目付近
遼君のボールは、手嶋や清田より40ヤード近く飛んでいた。
胸を張り堂々と歩く様は、17歳という年齢を感じさせない、それはもう
一流プロの姿である。
ただ、ギャラリーから「遼君!ガンバ!!」の声援が飛ぶと、サンバイザイー
のツバを指でつまみ、ちょっとハニカミながら軽く会釈をするあたりは普通の
17歳の高校生である。
今回は惜しくも10位に終わったが、そのチャレンジ精神は半端ではない。
最終18番のロング。手嶋・清田はレイアップして残り100ヤードのフェアウェイ。
石川 遼はバックからまだクラブを抜いていない。
狙うのか?!
そしてウッドを持った!多分スプーンであろう!エッジまで残り260ヤード!
全てのギャラリーが呼吸を止めた!
「バシュッ!!」 プロ特有の重厚な音とともにボールが飛んでいく。
おしくも2オンは逃したが、18番ホールの全てのギャラリーから割れんばかりの
拍手が・・・・・・・。
こんなことを言うのは不謹慎かも知れないが、他のホールは余りにも寂しい感じ
がした。
それほど石川 遼の組だけがとんでもないほどの大ギャラリーを引き連れていた。
この組が通り過ぎたあと、背丈が15センチはあろうラフのベント芝がぺちゃんこ
になっていた。
すべてにおいて遼君はスターである!!
タグ: