『月面に降り立たなかった男』
今日のタイトル『月面に降り立たなかった男』は昨日の読売新聞の朝刊の
【立体考差】という連載コアム欄の記事である。
この記事、結構心にぐさっと来たから、それを書いてみるが、アポロ11号に
よる人類初の月面着陸から、来月20日で40年となる。
11号の乗組員はニール・アームストロング船長、バズ・オルドリン、マイケル
コリンズの3人だが、実はコリンズは月面を踏んでいなかったのだ。
指令船パイロットの彼は、110キロ上空から月面の2人を見守り続け、21時間
余りの滞在を終えた船長らを回収、地球へ帰還させた地味な役割だった。
一人だけ目立たない任務に「月旅行の99,9%は同行するのだから、自分は
それで十分。」と、記事にはj当時のコリンズの心中や、アームストロング船長の
彼に対する心使いなどが書かれていたが、実はこの任務が一番孤独であり、最も
重要かつ決断を迫られる任務であったのだ。
「人類最初の第一歩」で世界中から注目されたアームストロング船長とオルドリン
飛行士の月面活動は約3時間で終了し、後は地球への帰還だけであった。
しかし、コリンズにはこれからが大変だった。
着陸船のエンジンが作動しなかったら?彼の神経は高ぶった。
離陸失敗の場合、彼は酸素の無い荒涼の地に仲間を残し独り地球へ帰還する
ように指示されていた。
さらに、離陸が成功しても、次は時速6,000kmでランデブー、ドッキングを成功させ
着陸船を捕まえなければならない。
彼はこの日コンピューターのボタンを850回も押して指示を入力した。一回でも間違え
たら全てが終わりであった。
そして7月24日、3人は無地帰還。華やかな歓迎式典が開かれて、彼らは世界中
から祝福された。
だがこの記事の筆者は「コリンズこそ真に宇宙時代を体験した最初の人間」だった
のではと言っている。
コリンズはたった一人、月の裏側を飛行していた時の気持ちをこう語っていた。
「特に月の裏側にいるときは格別な感情を味わった。私は本当に一人だ。全太陽系の
なかで、自分の生まれた惑星すら見ることの出来ない、たった一人の人間。」
さらに「私は今一人、まったくの独りだ。月の向こう側には30億人プラス2人
こちら側には1人プラスそれ以外の人数。」
最後の「それ以外の人数」というのは、我々以外の知的生命体の」ことであろう。
宇宙生命の気配を感じ取る。
それほど高貴な孤独だったのだ。
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