解らない訳でもなエアーニッポン機長の行動。
先月末、こんな新聞記事があった。「国土交通省東京航空局は、全日空のグループ会社
『エアーニッポン』所属の機長(31)が、運航中に操縦室で写真撮影をしていたとして、航空
法違反で同社に厳重注意を行い、再発防止策の策定を指示した。」
調べによると、この機長は昨年12月6日、高知空港発大阪国際空港行き
ANA1604便、大阪国際空港発大館能代空港行きANA1667便を運航中
機長席からデジカメで離陸直前の滑走路や大阪国際空港進入時の空港全景
佐渡島上空飛行中の機内計器を撮影し、1月上旬からネット上の会員サイト
に掲載していた。
全日空は1月下旬、外部からの通報でその写真掲載の事実を知り、機長に
事情聴取したところ「友人に見せたかった。」がその一番の理由であった。
確かにこの機長の取った行動は、航空法違反であり許される行為ではないが
何となく解らない訳でもない。
パイロットは男なら一度はあこがれる職業で、大空を自由に飛びまわり
その青過ぎる空を一人占めできる、まさに男のロマンでもある。
この写真はボーイング747 通称ジャンボ機のコックピットである。
コックピットとは飛行機の操縦席のことであり、その名の由来は「ニワトリ小屋」
から来ている。それは大変狭いと言う意味なのである。
そしてその機長は、ここからしか見られないベストビューを写真に収めたかった
のであろう。
その責任の度合いこそ違うが、私も高速道路を走行中
こんな写真を撮ってしまったこともある。大変いけないことだし、無論違反である。
この機長は当面乗務停止処分となり、サイト上の写真はすべて削除された。
これまた不謹慎かも知れないが、ちょっとだけその写真を見てみたい気もする。
航空機の操縦は原則、責任者である機長と補佐する副操縦士で行い、巡航中は
ほとんどが自動操縦であるが、運航中の状況変化への対応などはマンパワーで
そのすべてが機長の判断にかかってくる。特にトラブルが起こった場合など、瞬時
に様々な課題を同時にこなす「マルチタスク」の能力が要求される。
そしてそのパイロットになるためには、航空大学を卒業するのが最短ルートであるが
一般の大学からパイロットを目指すには、航空会社の「自社養成コース」に入らなけ
ればならない。
しかし、とてつもなくハードルの高い採用試験を突破しなければならず、日航の
場合だと、学力試験や英会話による面接など、6次試験まで行なわれるらしい。
合格後もすぐに機長になれるわけでもなく、基礎訓練などを経て、15年目以降に
ようやく昇格できるのが一般的なのである。
今度また飛行機に乗る時は、「本日は○○航空にご搭乗いただき・・・・・・・・。」
の機長アナウンスを真剣に聞くことにする。
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