流氷
天気予報を見ていて、「明日の風と波です。」という気象予報士
の言葉に、何故かTVの画面に目をやってしまう。
空知には海が無いのであるが、海釣りを趣味とする人間の習性
であろうか、よく釣りに行く日本海、太平洋、そしてオホーツクの
波の高さが気になるのである。
そしてオホーツクの海を見ると波の高さが出ていない。北海道
の人は理解できると思うが、そう流氷である。
オホーツクのほぼ全域を流氷が覆い、海面が見えなく、波が無い
のである。
流氷は遠くシベリアのアムール川の水が冷たい海に流れ込んで
出来る海氷である。
ユーラシア大陸の北東部を流れ、全長4,400kmにも及ぶアムール
川は多くのミネラルや植物プランクトンを含んだままオホーツク海に
注ぎ、海水と混ざり合う。
塩分濃度が低くなった海水は氷点下2℃以下になると凍りはじめ
さらに凍っていく過程でさらに塩分を吐き出し海氷となり、強い北風
に運ばれ流氷となる。
(遠くに見えるのは知床連峰)
流氷は毎秒30cmという遅い速度で南下し始め、1月の下旬頃から
北海道の沿岸に達し、オホーツク海は無論のこと、北海道東部の
太平洋沿岸にまでやってくる。
流氷は生き物であると言われ、一夜にして陸と海の境界を取りはら
うかと思えば、一夜にして大海原を出現させるのである。
またこの流氷は北海道の海に計り知れない恵みも与えてくれる。
植物プランクトンは流氷の底面に多く付着しているし、また氷の中に
も無限に含まれいる。
その植物プランクトンに動物プランクトンが集まり、それが多くの魚達
の餌となり、豊かな海を創るのである。
(流氷で覆われた常呂沖 写真提供:第8幌岩丸船長 皆川寛紀氏)
テレビでは、もうサクラ前線の話が出ているが、そんな話題は今の
この海には無縁である。
ここの春の訪れは、眩しいほどの青い海が戻って来てからである。
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